強み分析ツールを使ってみた
自分のことはわかってる、っていう人もいるかも知れませんが、自分のことを自分で知るのって意外に大変じゃありません?仕事として調査分析に基づく戦略的な示唆をしているということもあり、データの分析はお手の物のぼく。しかし、自分自身を客観的にあるいは要素還元的な手法で理解しているか、と言われたら違うかもしれません。自分の得意不得意は一応わかっているつもり。でもそれは、要素還元的な理解ではなく、ホリスティックな理解だったということを最近知りました。それは自己分析ツールを使ってみたからです。
今回試してみた自己診断ツールはクリフトンストレングスというものです。グローバルの人材開発およびリーダーシップ開発のコンサルティングを行っている「ギャロップ(Gallup)」というファームのメソドロジーです。具体的には177の質問に回答し、その結果を34項目の資質(才能)の強度で示します。上位の5項目がその人の「極めて強い資質」ということになります。
クリフトンストレングスオンライン才能テスト
あなたのクリフトンストレングスの資質は、あなたの才能DNAです。これにより、あなたが自然にどのように考え、感じ、行動するかが分かります。 当社の研究 によると、自分のクリフトンストレングスを知り、活用している人たちには、以下の特徴があります。 仕事に対するエンゲージメントが高い 役割における生産性が高い 幸せで健康である 自分が成長したい、または 部下のパフォーマンスを高めたい ...
批判的な見方をすればある種の占いのようなものかもしれませんが、ぼくはこうした類型化、多変量にパターンを見出して一般化するメソドロジーは欧米(特にアングロサクソン)が卓越していると思っているので、彼らのツールならちょっとやってみようかな、と思ったわけです。先述の177の質問に対しては回答時間が限られていて、迷っているとスキップする設計になっています。おそらくそれ自体も分析のための説明変数のひとつとしてカウントされる仕組みなのだと思います。Gallupのサイトを見ると80年のデータ蓄積が謳ってあるので、統計的にもかなりの有意性があると思います。
ちょっといいよね。
このツール、ウェブで診断を受けるとIDが発行されて、レポートを読むことができ、さらにダウンロードすることができる仕組み。ちなみにテストは5,850円。安くはないですよね。ちなみにAmazonでも買うことはできます。こちらは本にコードが振ってあり、それをウェブで入力するとテストが受けられる仕組みの模様。Gallupのサイトのテストが高いなぁ、と思う方はこちらでもいいかもしれません。どうぞ自己責任にて。
↓下のサムネイル画像がAmazonへのリンクになっています。
ぼくの結果をみてみると
なぜこの記事を書いているかといえば、結果に素晴らしく納得しているからなのですね。ここまで明確にかつ詳細に自分の強みを分析して、合わせて留意すべき点まで丁寧に書いてくれた「占い」は今まで出会ったことがありません。完全に個別化(カスタマイズ)されたセンテンスを吐き出すシステムだとは思いませんが、かなりのレベルで個々人にフィットさせている気がします。何人かで受けて、同じ資質があった場合のセンテンスを比較してみればわかりますよね。でも80年間にそうしたチェックをされていない訳もないでしょうし、ここはカスタマイズされている、と信じることにします。
ちなみにぼくが人並み優れている資質の上位5つは以下の通り。
戦略性、着想、未来志向、達成欲、内省の5つが卓越した資質ということになりました。日本語だと勝手な解釈をしてしまう危険性もあるため、念のため英語でどのような表現がされているか、確認してみました。
①Strategic
②Ideation
③Futuristic
④Achiever
⑤Intellection
なるほどね。こういう言葉で資質を表しているのですね。ぼくの資質について説明するのがこの記事の目的ではなく、あくまでもクリフトンストレングスというツールを紹介するのが目的なので、一部分を抜粋して、どんなことが書いてあるのかをみてみます。
まずぼくの最大の資質は「戦略性(Strategic)」ということです。広告代理店にいたときのぼくの職能はStrategic Plannerだったのでまあ適職だったと言えるみたいです。実際に広告代理店のStrategic Plannerは戦略立案の仕事ではなく、雑多な情報の整理して最もらしいまとめを作る仕事なので、おそらくぼくの資質は一部分しか発揮できていなかったと思います。ぼくの資質は当然のことながら、広告代理店から独立して、本当に戦略を提案するようになってから開花しているはずです。
ここで言う戦略性とは、目標に向かうための選択肢をすばやく、複数想定し、その中から最適なものを選択できる資質とのこと。どんな状況になっても正しいパターン、つまり正解を導ける資質と書いてあります。素晴らしい。ぼくにはそんな優れた能力が備わっているわけですね。(自慢ではなく、クリフトンストレングスが言っているんです)
面白いのはダウンロードできる詳細レポートには「盲点に注意しましょう」という項があって、こんなことが書いてありました。
他の人と一緒に仕事をする場面では、「戦略性」の才能が批判と間違われることがあります。すでに順調に機能していることや他の人が成功したことに気を配りましょう。
CliftonStrengths®️
あなたはパターンや経路を極めて短時間で評価するため、他の人はあなたの思考プロセスについていくことも、理解することも難しい場合があります。ときには後戻りして、そこまでの考えに至った経緯を説明しなければならないことを自覚しましょう。
個人的にはこちらの盲点の指摘の方が刺さりました。他の資質のところでも、気をつけることや努力目標が示されているのが有益に感じます。例えばこんな感じです。
あなたが考えたことを周りが理解できるように説明しましょう。
CliftonStrengths®️
読むこと、調べること、考えることに時間をとってください。
書くための時間をつくりましょう。
パーティの計画をたてられる人になりましょう。
誰もが一度は試した方がいい
適性検査などは企業でもよく行われていますが、あれらは基本的に管理する側が個々人を評価するツールです。このクリフトンストレングスは、自分が自分を理解することを助けてくれるツールだと思います。冒頭に書いたとおり、意外に自己分析は的確にできないものです。なぜなら、自分の才能と自分の願望は別だから。よく自分の願望に従うのが正しい、という言説を目にしますが、願望だけでは成功できないことも多いと思うのです。
かくいうぼくも独立起業したのちは、理想が先走って自分の資質とは違うことに結構手を出して痛い目に会いました。
自分の不得意分野をカバーしていこう、と言う考えは危険です。
これは一見大事そうに見えますが、膨大な時間とコストを投じてもリターンが少ない可能性大です。かのドラッカーもこんなことを言っています。
行っても成果のあがらないことは行わないこと。
P.F.Drucker
努力しても並にしかなれない分野に無駄な時間を使わないこと。
独立して20年。それを経て、ようやくドラッカーの言葉も腹に落ちました。それを後押ししてくれたのが、このクリフトンストレングスなのです。自分のことは自分が一番わかっているさ、と嘯く前に、隠れてひとりでテストしておくことをお薦めします。ある程度確立されたメソドロジーで客観的に自分の資質を掴んでおくと何をするにも確信(Confidence)が持てます。これこそが何よりも大事だと思うのです。