フレンドリーなBMW
モーターバイクへの憧れが再燃している話は先日書きました。同じようなオヤジも少なからずいらっしゃることと思います。なんというか、アタマで考えることばかりが先行する毎日にもっとフィジカルな要素を導入したいという、至極動物的、あるいは本能的な欲求のように感じます。
とはいえ20年あるいは30年のブランクの後、モーターバイクに乗るとするとどんな車種を選んだらいいか迷います。ぼくの場合は、四輪はBMWが気に入っているため、その流れでBMW Motorradに目が行ったわけです。でもわが日本は世界一のモーターバイク生産国。国産バイクにもいい車種がないわけがない。当然、高校生から大学生の頃に憧れていたのは国産バイクばかり。輸入車があることすら知らなかったし。だから、国産バイクの中にもオヤジのリターンに相応しいものがあるかも知れない。
ちなみにBMW Motorradのラインナップの大半は排気量1,000ccを越える大型ばかり。その中において最もフレンドリーな性格のモーターバイクがG310Rということになります。
G 310 R
G 310 Rのクールなルックスは間違いなくBMW Motorradそのものであり、明らかにS 1000 ...
手ごろなプライスでBMWに乗れる
G310Rは、特にASEANエリアでの販売を狙うBMWの世界戦略車。商品企画と品質およびブランド管理はBMW Motorradが行い、インドのTVS Motorが製造を担当します。
Best Two Wheeler In India- Bike, Scooter, Motocycle | TVS Motor
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TVS Motorのサイトに行くと、たしかにG310Rに似たデザインのさらに小排気量のモデルがラインナップされていることがわかります。生産をTVSに委託することで抑えられたBMW G310Rのプライスは、日本国内の税込みで623,000円。比較的近いスペックではホンダのCB250Rが想起されます。
CB250R 車種カタログ
CB250R メーカー希望小売価格(消費税込み) ※1 564,300 円 燃料消費率 ※2 44.5 km/L (60km/h定地燃費値) タイプ・価格について ※1 価格はメーカー希望小売価格(消費税10%込み)で参考価格です。販売価格は販売店が独自に定めております。 ※1価格(リサイクル費用を含む)には保険料・税金(消費税を除く)・登録などに伴う諸費用は含まれておりません。 ※1詳しくはHonda二輪車正規取扱店にお尋ねください。 ※2燃料消費率は、定められた試験条件のもとでの値です。お客様の使用環境(気象、渋滞等)や運転方法、車両状態(装備、仕様)や整備状態などの諸条件により異なります。 ※2定地燃費値は、車速一定で走行した実測にもとづいた燃料消費率です。
こちらは250ccの単気筒で価格は564,300円。G310Rは313ccなので排気量こそ分がありますが、灯火類はフルLEDのCB250Rの方が今日的。BMWは細かな点でコストダウンを図っているのは明らか。しかし国産のバイクと競合するところまで価格を下げてきたことは評価できると思います。他のBMW Motorradのバイクは概ね150万円~250万円というプライス。リターンライダーであるぼくなどからすると、ちょっと最初に手を出すには躊躇するレベルの価格です。(その前に大型免許がありませんが)その点、オプションや装備をある程度準備しても、乗り出し70万~80万レベルに落ち着くG310Rは極めてお手頃と言えると思います。
試乗コースは10キロくらい。トレーラーが怖い。
とにかく試乗。ということでBMW Motorradの東京ベイでG310Rに試乗してみました。同時にG310GSというアドベンチャータイプの派生モデルにも試乗しました。GSにご興味のある方はこちらのポストをどうぞ。
最も小さくて軽量なBMWのモーターバイクと言えども実物は結構な存在感があります。機能は極めてオーソドックスなので試乗前の説明も実に簡単。教習車だったホンダCB400SFとの違いは40キロ以上軽いことです。
免許証のコピーを預け、免責事項にサインしてGOです。ちなみに試乗の場合、対人無制限、対物500万の保障はついていますが、車両保険はついていません。よって立ちごけなどで車両を破損した場合には、ユーザーが全責任を負うことになるのは覚えておいた方がいいかも知れませんね。試乗コースはお台場(青海)から羽田近辺までの折り返し。道は単純で信号も少ないですが、大型貨物車(トレーラー)がとても多いエリアです。
ちょっとわかりにくいですが、BMW Tokyo Bayを出て左折、突き当りの信号を左折して高速コーナー、右折してテレコムセンターを通過した先の交差点右折。ここから続く長い直線を直進、海底トンネルをくぐって中央防波堤まで行き、Uターンして戻るという行程です。往復距離は10キロ弱くらいでしょうか。試乗コースとしてはそれなりにバイクを理解できる距離かとは思います。場所柄とにかく走っているのはデカいトレーラーばかり。大きなトレーラーに囲まれて小さなバイクで走るのはちょっと怖いものがあります。
G310Rの性格がよくわかったぞ
教習車以外の現代のバイクに乗っていろいろなことがわかりました。印象に残っていることをランダムに書いてみると。
- G310Rは実に軽快、不安や怖さが少ないバイク
- その理由は足つきの良さ、785mmのシート高は秀逸
- 1速の発進はやや癖がある
- 噂通りスロットルをある程度煽らないとエンストする
- クラッチのミートポイントが少し遠い
- シフトは節度感もあり、小気味よく決まる
- ニュートラルも出しやすい
- 一旦走り始めるとトルクは下から結構ある
- 1速、2速、3速はかなりトルクフル
- 4速以上でもスロットルを回すと素早く加速できる
- 加速そのものは強烈ではないが、遅くも感じないレベル
- 6速巡行からも加速できるくらいのトルクはある
- ウィンカーは左右どちらに出ているかわかる方がいい
- リアブレーキペダルが遠くて深くて踏みにくい
総じて経験の浅いライダーでも不安なく乗れるバイク、という点では素晴らしいと感じました。スタートは少し癖がありますが、これは慣れが解決してくれるでしょう。313ccのトルクはなかなかのもので、これ以上大きな排気量車を知らなければ特段問題は感じないと思います。6速巡行からでも加速できることがわかったので、高速道路などでもそれほど遅くて怖いという思いはしなくても良さそうですね。
一番問題に感じたのはリアブレーキですね。ポジションが遠い上に深いので、最初はリアブレーキが踏めなかったくらいです。その時はお気に入りのオニツカタイガーのスニーカー「ローンシップ」を履いていました。このスニーカーではリアブレーキは意識して前目にポジションしないと踏めない感じです。ポジションの浅さはカスタムするしかなさそうですね。ディーラーに教えてもらったパーツ屋さんのECでブレーキペダルプレートが売られているので、G310Rを購入したら是非装着したいと思います。
P&A International / パイツマイヤーカンパニー
Wunderlich ブレーキペダルプレート RnineT Scrambler / Urban G/S / G310R / G310GS カスタム パーツ 品番 : W26232-001適合車両 : BMW RnineT Scrambler / RnineT Urban G/S / G310R / G310GS純正ブレーキペダルの面積を増やすことでペダルの踏み外しの不安から解消され、快適なドライブをエンジョイできます。 硬質なアルミニウムを使用し、滑り止めカットが施されています。 取り付け方法は純正ペダルを挟み込んで設置します。
「走る」「止まる」「曲がる」という基本性能について、気になるのはそれくらい。BMWの中でも最もフレンドリーなポジションにあるG310Rは、マシンの性格もフレンドリーだと感じました。角がない。実にオープンマインドで、気難しいところのない、裏表のない、気のいい相棒と言えそうです。付き合うのに苦労しそうな点はほぼ皆無です。その意味で、オヤジがリターンで乗るバイクとしては最右翼と言っていいのではないでしょうか。BMWというブランドの重みがいい感じで効いていて、若者が少し手を出しにくい点もオヤジにとっては嬉しいと言えるかもしれません。
全体に十分ですが、灯火類はLEDに替えたいところです。夜間や悪天候のときに走ることはないとはいえ、やはりヘッドライトがハロゲンなのは不安だし、正直カッコ悪い。もしもG310Rを購入したら、ここは早急に手を入れたいと思います。試乗後、ディーラーに試乗した旨を連絡し、見積りを取ってみました。なぜならTOKYO BAYはショールームなので、販売はしていないのです。乗り出しは80万くらい。総じて、ぼくはG310Rがかなり気に入りましたが、G310GS、それにハスクバーナ、ベンチマークになりそうな国産の数台にも乗ってみたいと思っています。この夏は「密」を避けて、バイクの試乗を楽しもうと思います。