欲しいバイクがない
普通二輪免許を獲ろうと決めたのはBMWのG310Rが目に入ったからでした。でも少ない情報で選ぶのはもったいないな、と他のバイクについても調べることに。何しろバイクに興味のあったのは高校生の頃。既に40年近く前です。その頃のバイクと今のバイクはかなり違うはず。あらためて見てみると、国産の250cc~400ccクラスはモデルが少ないことにビックリ。それだけ需要が縮小しちゃったのでしょうね。
データを分析するのが本業のぼく。ということでちょっと自動二輪の市場推移を調べてみました。軽くググってみると、環境省のサイトに国土交通省、日本自動車工業会が発表しているデータがありましたので参照してみます。リンク先はこちらです。
データの最初、1980年にぼくは16歳。ずばり高校生です。そのときの原付を含めた二輪車の国内販売台数は237万台。それが2010年には38万台になっています。何とビックリの30年で85%減。
250cc~400ccは小型二輪車に分類されますが、こちらは1980年には103,184台が2010年には25,352台へと減少。同じく30年で75%減。
こんなに国内市場が小さくなれば、車種が減る訳です。
もう少し新しいデータも参照してみました。2018年の数字が確認できます。データソースはおそらく同じ。確認できた数字は2018年の自動二輪車需要数。こちらは37万台とのこと。おそらく2010年以降、このくらいの水準で推移しているのでしょう。
だからと言っては何ですが、欲しいと思えるバイクがない。
ハスクバーナが気になる
そんな中でビビッと来たのがハスクバーナというスウェーデンのモーターサイクルメーカーのヴィットピレン701という車種でした。ぼくはハスクバーナというブランドを知らなかったのですが、そのデザインの鮮烈さにやられました。とにかくカッコいい。こんなバイクなら乗ってみたいと思ったのです。
でもこのヴィットピレン701は大型免許がないと乗れません。その下にはヴィットピレン401という普通免許で乗れるモデルがあります。しかしデザインエレメントは同じなのですが、中型という制約のせいか、701に比べるとそれほどカッコいいとは思えないのでした。
ハスクバーナはシンプルなモデル構成。エンジンは単気筒で、カフェレーサー系デザインのヴィットピレンとスクランブラー系デザインのスヴァルトピレンから成っています。スウェーデン語でヴィットピレン(Vitpilen)は「白い矢」、スヴァルトピレン(Svartpilen)は「黒い矢」という意味だそうです。詩的なネーミングですね。独自の世界観を感じます。
個人的にアウトドア志向ゼロのぼくとしては、自然とカフェレーサー系の方に惹かれてしまいます。特に2019年モデルまでは、文字通りヴィットピレン401はパールホワイト、スヴァルトピレン401はブラックの塗装がしてあり、印象もかなり違いました。買うならヴィットピレン401かな、と思い、動画なども見ているうちに、かなりその気になってきたわけです。
それにハスクバーナの広告がいい。このキャッチフレーズには惹かれました。
SIMPLE.
PROGRESSIVE.
いいね。何とも潔い。このオートバイは、いろいろなものをそぎ落としたシンプルさと、孤高を厭わない先進性がコンセプトなわけです。ついアタマで考えがちなぼくはこのコンセプトだけでも買っちゃいそう。
でもとにかく乗物は乗らないで買っちゃダメ。広告業界にいたぼくが口を酸っぱくして言いますが、コピーで買っちゃダメな商品なんです。
そうこうしているうちに2020年モデルが発表され、スヴァルトピレンに250ccが追加されました。ぼくが好きなヴィットピレンには2020年8月現在、250ccのモデルは正式に追加されていません。2020年モデルの発表と同時に新価格となり、スヴァルトピレン250はなんと599,000円というプライス。401も価格が下がり、ヴィットピレン401は2019年モデルの77万円から、68万円へと9万円のダウン。俄然買いやすくなってきました。250なら車検もないし、かなりお気楽なモデルになったと言えそうです。
ヴィットピレン250及びスヴァルトピレン250のスタイルはこのプロモーション動画で表現されていますが、まぁカッコいい。
2020 Husqvarna Svartpilen 250 & Vitpilen 250
NEW Husqvarna Svartpilen 250 & Vitpilen 250 https://www.husqvarna-motorcycles.com/ For all policy violations, community guidelines, copyright law please cont...
ぼくは上述の通り、ヴィットピレンが好きですが、2020年モデルは塗装がほぼ同じようなメタリックのトーンで統一され、ブロックタイヤもセミブロックになって、オフロード色がやや薄くなったスヴァルトピレンなら、ぼくが乗ってもおかしくないような気がしてきたわけです。ヴィットピレンは下がり気味のセパレートハンドル、スヴァルトピレンはアップライトなバーハンドルとスタイルは違うのですが、興味のない人から見たら、ほとんど同じに思えるんじゃないかと。
能書きは不要、とにかく乗ってみよう
さっそく試乗を申し込み、ハスクバーナ世田谷さんにお邪魔しました。こちらはライセンス取得前から、実車を拝見させて頂き、またいろいろと相談にも乗って頂いたお店。その節はありがとうございました。
ハスクバーナ世田谷|Husqvarna-setagaya
ハスクバーナは北欧発祥の高品質かつスタイリッシュなマシンです。ハスクバーナ世田谷はオフロードからモタードまで全てのハスクバーナモデルを取り扱っております。
改めて見るスヴァルトピレン250はとてもコンパクト。125cc並みと思えるくらいの小ささ。でも401でもエンジンが違うだけでコンパクトさは同じなわけです。この小さなシャシーに250では31馬力、401では44馬力のエンジン。そりゃ、元気いいに決まってます。
ハスクバーナはシートとタンクケースが一体化したデザインが特徴。このデザインのハイライトのひとつが水平に近いシートのラインです。デザインを優先させるため、シート高は835mmとアドベンチャーのBMW G310GSと同じ。足つきの悪さが懸念されましたが、これも杞憂でした。予想以上にスリムなため、足つきはそれほど悪くありません。また半乾燥重量も153キロと極めて軽いため、跨った状態で不安な要素はほぼないと言っていい感じでした。
ハスクバーナ世田谷さんは駒沢公園通りに位置しており、そこから目黒通りに出て少し走って左折し、深沢の交差点を左折、KTM世田谷の角を左折して一周するという試乗ルートでした。BMW TOKYO BAYとは環境も違うのでルートは短いですね。2キロないくらいかな。クルマの通り、人通りも多いのでそれなりに気を遣うルートです。
いまいちハマらない
スヴァルトピレン250に乗ってみた感想を以下にまとめてみます。
- 足つきは悪くない、いや思ったよりもずっといい
- 軽さは正義。軽いので不安が少ない。
- エンジン音はバルルルって感じでBMWより野太い
- 破裂音も粒立ちがあって威勢がいい感じ
- エンジンの存在感、主張はBMWより強い
- シフトは各段に入れるときのショックが大きい
- それは悪い意味ではなく、確実なフィードバックが返るという意味
- 変速機の精度はBMWよりも高い印象
- 250ccなのにパンチが凄い
- 街中では十分過ぎるトルクでかなりキビキ走れそう
- シフトダウンした際のエンジンブレーキはかなり効く
- ニーグリップしにくいタンク形状
- 加減速が過敏なので腰の位置が常時動いてしまう印象
想像以上に元気のいいバイクでした。そして乗りやすい。原付スクーターのようなといったら誤解を招くかな。でもぼくの印象だとそれに近いのです。カッコいい街乗りのコミューターとして考えると、250ccスクーターよりは魅力的。でもぼくは、ニーグリップがしにくく、腰の位置が決まらずに絶えず動いてしまうことによる漠然とした不安が、スクーターとの共通項と思いました。
なんというか、座りの悪さをぼくは感じるのです。デザイン上のハイライトのひとつであるカッコいいタンク形状が原因だと思いますね。エンジン、シフト、佇まいといった点は気に入りました。でも腰が落ち着かないライディングポジションにどうしても馴染めず、あれほど恋焦がれたハスクバーナ、スヴァルトピレン250の試乗は、なんだか「あれ?」という感じでした。
まあオフ車に乗りなれた人なら特段問題ないのかも知れません。でもぼくは、マシンにしっかり一体化したライディングがしたいんだろうな、いまのところ。でももしかすると、こうした感想を抱くのはスヴァルトピレンだからかも。せっかく来たのだから、ヴィットピレンにも乗ってみよう。だってぼくは最初からヴィットピレンに惹かれていたのだから。そう思い直して、ヴィットピレン401に試乗することにしました。さてヴィットピレン401はどんなバイクでしょうか。